事実を整える

Nathan(ねーさん) 法的観点を含む社会問題についても、事実に基づいて整理します。

モンスターマップよりヤバい自己破産・特別清算・再生データベースの法的問題

自己破産・特別清算・再生 データベース

"hasandb.com"のURLで「自己破産・特別清算・再生データベース」なるサイトがあります。

「復活した破産者マップ」と呼ばれているMonster Map(モンスターマップ)よりも情報が明確で危険であり、こちらの方が問題は深刻だと思います。

※新たにサイトが設立されたようです。

破産者マップ・モンスターマップと同じ「自己破産・特別清算・再生データベース」

自己破産・特別清算・再生データベース」も、破産者マップ・モンスターマップと同じく、官報に掲載された破産者の情報を記述しています。

モンスターマップと違うのは「破産・清算」のデータベースと明言していることです。

ドメインは2019年の9月19日に取得されているようであり、モンスターマップよりも後発ということになります(真実の運営元の異同は不明)。

運営者の明示もありません。

削除依頼をしてはいけない 破産者マップと同じ手口

サイト内には「削除依頼」というフォームがありますが、個人情報を搾取するための騙しの手口なので決して依頼してはいけません。

破産者マップの運営者は個人情報は廃棄したと言いますが、それを信じられるでしょうか?また、当時は運営者と異なる第三者が悪用して金銭を要求していたケースもありました。

Yahoo地図と紐づけているようだが削除か提供前か

「自己破産・特別清算・再生データベース」はGoogle MapではなくYahoo!地図と紐づけているようです(紐づけようとしている)。

現在はリンクから辿った先では「指定された情報はすでに削除されているか、まだ提供を開始していません。」となり、地図情報を閲覧することはできません。

目的は政治的か 現時点で収益化措置はとっておらず

モンスターマップもそうですが、広告をつけていないので収益化目的ではないと思われます。(モンスターマップはDDos対策だとしてマイニングプログラムを導入と明言。ウィルスバスターも検知)

  1. 愉快犯
  2. 不快に思う無関係の方からの個人情報詐取
  3. 合法的に破産者情報を取り扱っている事業者の利益の毀損
  4. 何らかの政治的意図

大別すると、これらのいずれか又はいくつかの複合目的による行動と思われます。

法的問題点:破産者マップ、モンスターマップと同様に名誉毀損、プライバシー侵害

破産者マップ、モンスターマップの両方について法的問題を指摘したことが同様に「自己破産・特別清算・再生データベース」にも当てはまります。

「自己破産・特別清算・再生データベース」では破産情報であるということが明示されているので、名誉毀損になる可能性がより高いでしょう。

「既にネット上で公開された情報だから」は通用しません。

少なくとも破産者の住所を公開したことがプライバシー侵害

プライバシー侵害になるかは公開の利益が公開されない利益を上回るかで決まります。

他方、破産法の官報公告の趣旨は((条解破産法・弘文堂2010年、破産手続の関係者に対する裁判の告知や書面の送付を速やかにかつ経済的に実施するためのものであるとされています。

よって、そのような実態と形式を備えていない公開行為は、公開する利益が公開されない利益を上回ることは無いと言えます。

「自己破産・特別清算・再生データベース」はネット上の地図情報サービスとリンクさせようとしているところ(現在は機能しておらず)、仮に実現できたとすれば「現在の情報」として閲覧者は認識します。

すると、既に引っ越しで住居人が変わった場合や破産手続が終了した者であっても、今現在も破産者であると誤解させるつくりになっているため、そのような方々に対する名誉毀損にもなりうるものです。

直近の情報を載せているだけ?

「自己破産・特別清算・再生データベース」が破産者マップやモンスターマップと異なる点は、2019年8月1日以降の情報しか無いことです。

ドメイン取得が9月なのに8月からの情報を載せているということは、おそらく「直近3か月」程度の情報を掲載する方針と思われます(今後の推移を見守る)。

これに対してインターネット官報は「直近30日分」が公開されています。

少なくともこれから外れた期間の情報を載せるのは上述の通りアウトですが、たとえ「直近30日分」の情報に限って掲載したとしても(インターネット官報で見れるので無意味な行為だが)、個人情報保護法のオプトアウト規定に違反しています。

個人情報保護法のオプトアウト規定違反

実は、民間で破産者チェックプログラムを販売している事業者も居ます。

しかし、これは個人情報保護法のオプトアウト規定に則って事前に個人情報保護委員会に届出をしている事業者であり、法律上、取り扱いが認められているのです。

破産者マップやモンスターマップ、自己破産・特別清算・再生データベースはそのような許可を得ていないのでアウトです。

この場合、個人情報保護委員会は「個人の重大な権利利益を害する事実があるため緊急に措置をとる必要があると認めるときは、当該個人情報取扱事業者等に対し、当該違反行為の中止その他違反を是正するために必要な措置をとるべきことを勧告・或いは命ずることができる」(個人情報保護法42条参照)とされています。

有効な対抗措置・対応手段はアクセス負荷?マイニングプログラムに注意

破産者マップはアクセス過多でサーバーダウンし、使い物にならなくなりました。

サーバーの維持管理費用が、このようなサイトを公開することで得られる利益よりも高くつくのであれば、サイトは存続できなくなります。

ですから、サイトの存在を周知して晒すことが有効な対抗手段になりえますが、モンスターマップはDDos攻撃などを受けたためマイニングプログラムを導入したとしており、今後は逆にアクセスがサイトの利益になってしまうおそれがあります。

個人情報保護委員会への通報 委員会は把握済み

ご意見・ご感想

個人情報保護委員会に電話で通報した際、既にこれらのサイトの存在は把握して対応を検討中とのことでした。

上記リンクからフォームで通報可能と聞きました。

サイトは随時アップデートされていくと思われるので、新しい情報があれば連絡すると良いでしょう。

いたちごっこは続くようです。

以上

韓国、日韓GSOMIA終了を停止 協定延長の報道と日本政府の譲歩?

GSOMIA協定終了を停止、GSOMIA破棄を延長

韓国が米韓GSOMIA(軍事情報包括保護協定)の延長を決めたとの報道がありました。

ちょっと日韓の報道で気になる点があるのでピックアップします。

韓国、日韓GSOMIA(軍事情報包括保護協定)終了を停止

http://archive.is/Zk96J

GSOMIA「協定終了を停止」韓国政府が日本政府に伝える
2019年11月22日 16時56分

23日午前0時に失効が迫る日韓の軍事情報包括保護協定=GSOMIAについて、韓国政府が、日本政府に協定を終了するとした通告を停止する方針を伝えてきたことがわかりました。これにより、協定の効力は維持されることになります。

日韓GSOMIA延長へ - 産経ニュース

2019.11.22 17:07

23日午前0時に失効が迫っていた日韓の軍事情報包括保護協定(GSOMIA)が延長されることが決まった。複数の日本政府関係者が22日午後、明らかにした。

韓国が日韓GSOMIA(軍事情報包括保護協定)終了を停止したと最初に報じたのはNHK,次いで産経新聞です。

韓国メディアも見てみましょう。

韓国メディアのはなぜかNHKの後追いで青瓦台(大統領府)の決定を知る

f:id:Nathannate:20191122173204j:plain

https://news.joins.com/article/23639486?cloc=joongang-home-toptype1basic

[속보] 靑 오후 6시 "지소미아 종료 안 한다" 발표 - 조선닷컴 - 정치 > 외교·안보

入力2019.11.22 16:46 | 修正2019.11.22 17:11

青瓦台が22日午後6時、軍事情報の保護協定(GSOMIA)を終了するかどうかについて発表する。日本が対韓国の輸出規制を緩和または解除し、韓国は支所迷子終了を猶予する「条件付き演技論」に韓日両国政府が暫定合意したことが分かった。日本のNHKは「韓国政府が日本政府にGSOMIA終了通知を停止する方針を伝えてきたと(日本)政府関係者が明らかにした」と報道した。NHKは「これにより、協定の効力は維持される」とした。

[속보] NHK "한국, 지소미아 종료 안한다…일본 정부에 방침 전달" - 중앙일보

当初、大統領府は「日本の態度の変化がなければ支所迷子終了が避けられない」という立場だったが、日本との水面下の接触および内部の議論を経て、条件付きで終了期限を先送りの立場を撤回したことが分かった。

朝鮮日報と中央日報の韓国語版ですが、自国のことなのに日本のNHKによって青瓦台(大統領府)によるGSOMIA延長の事実を知るということになってます。

これはちょっとおかしいですね。

協定延長の報道と日本政府の譲歩?「条件付き」とは

韓国の青瓦台からの発表は午後6時からとのことです。

なお、日本の経産省から午後6時に輸出管理について発表があるようです。

気になるのは「条件付き演技論」(訳語がたぶんあやしいです)という部分。

これは、単なる推測ですが、日本のNHKが先に報じて、韓国メディアが後追いだということからは、韓国が日本に対してGSOMIA破棄の撤回となる条件を提示していて、日本側がそれを飲んだ、というケースが考えられます、だから日本発の報道になったと。

日本政府が妙な譲歩・妥協をしていなければいいのですが…

経済産業省「譲歩はしていない」「3品目の輸出管理で局長級協議を再開」

18時10分頃から行われた経済産業省の会見は以下の通りです。

  • 3品目の輸出管理で局長級協議を再開

はい、これだけです。

「ホワイト国の認定・復帰」や「3品目の輸出管理見直しを撤回」などとは言っていません。記者からの質問に対しては「譲歩はしていない」とも述べています。

ホワイト国除外に関して韓国側のフェイクへの対抗?

ホワイト国除外に関して、過去にはこんなことがありました。

7月12日、日本側は「韓国側から撤回の要請はなかった」としていましたが、13日、韓国側の担当者は「『納得も理解もできない』と強く反論した」「日本の措置に遺憾を表明し、現状の回復と撤回も要請した」と記者会見で話しました。

しかし13日、日本側は「再度、会議録を確認したが、撤回を求めたという明確な発言はなかった」「韓国側の発言は、会合のあと双方で確認した対外的な発表内容を超えるもの」と指摘する反論の記者会見を開いています。

こうしたことから、韓国側のGSOMIA延長についての主張で「日本が条件を飲んだ」というフェイクを主張するので、経産省はそういった論調がメディアに拡散されないように先手を打ったのかもしれません。

安倍総理「GSOMIA破棄の撤回は戦略的観点から判断したのだろう」

安倍総理も18時30分過ぎに記者団の取材に応じました。

韓国のGSOMIA破棄の撤回については「北朝鮮への対応のために日韓、また日米韓の連携・協力は極めて重要。それは私も繰り返し申し上げてきたことで、今回韓国もそうした戦略的観点から判断したのだろうと思う」と述べただけにとどまります。

日韓の説明のズレ「日本が条件を飲んだ譲歩したと見せかけるため」?

なぜ日本側と韓国側とで説明がズレているのでしょうか?

日本の発表と韓国の発表は矛盾しており、韓国が嘘をついているのでしょうか?

ここで、矛盾は無いという前提の推測をします。

その際、「日韓とで別々の説明をするしかない」という事情があるとします。

この前提に立つと今回の事象は【日本が譲歩してホワイト国復帰をさせたかのように見える状態を作出したとみるべきだと思います。

韓国側が輸出管理体制をちゃんと整備して復帰すれば韓国側は今回の件で決まったことと言える。日本側もキチンと体制整備した相手を認めないことはない。

だからこそ韓国メディアが青瓦台の決断についてNHKの報道を後追いで報じたのではないでしょうか?

「ボールは日本側にあった」

「GSOMIA延長決定は日本側が韓国側の条件を飲むか否かだった」

韓国国内向けにはこういう印象があれば良いわけです。

となると、韓国メディアに青瓦台から指示があったのでしょう。

本当に日本が譲歩したのかどうかは、今後、どのタイミングで韓国がホワイト国に復帰するのか、あるいは復帰しないのかで判断できるのではないでしょうか?

以上

前川喜平 ホテルニューオータニ名誉毀損デマツイート削除 魚拓とスクショ

f:id:Nathannate:20191121112721j:plain

魚拓

前川喜平がツイートを3つ削除したようです。

どんな内容だったのでしょうか?魚拓とスクショを見てみましょう。

前川喜平 ホテルニューオータニ名誉毀損ツイート削除 魚拓とスクショ

前川喜平によるホテルニューオータニに対する名誉毀損のデマツイートの魚拓とスクショを読む際の注意ですが、この魚拓に表示されている時間は日本時間より17時間遅れているものです。日本時間では20時台に連続ツイートされているものです。

「官房長官のスタッフに脅された」

前川喜平 ホテルニューオータニのツイートを削除 魚拓とスクショ

魚拓はこちら

「知人が関係者から聞いた話」の時点で、少なくとも「伝聞の伝聞」です。

しかも「ニューオータニの関係者」も、ニューオータニの社員なのか、外部で関係がある人間なのか不明です。この時点で、まったく信ぴょう性がない話です。

さらに言えば「金曜日に呼び出され」は先週の金曜日(11月15日)と思われますが、それよりも前の時点でニューオータニは5000円で受注することもあると回答してるので、辻褄が合いません。

このツイートは11月14日の木曜日にしています。

そして、先々週の金曜日だとすれば、全メディアがそのように報道していたハズです。

よって、この時点でデマだということが分かります

なお、ホテル側の回答が変わったのではなく、メディアは取材時に5000円で提供することもあり得ると聞いているにもかかわらず、意図的に1万1000円からの「パーティープラン」という名前がついているパッケージプランについての回答のみを報道しているということが分かっています。

結局「伝聞の伝聞で真偽不明」とツイート

前川喜平 ホテルニューオータニのツイートを削除 魚拓とスクショ

魚拓はこちら

前川喜平 ホテルニューオータニのツイートを削除 魚拓とスクショ

魚拓はこちら

今後、自民党関係のパーティーがホテルニューオータニで開催されれば、このツイートで言っていることはデマだということが確定します。

まとめ:桜を見る会で安倍政権を倒せればデマでも良いのか

桜を見る会に関連する一部の野党議員や反安倍政権の人間に共通するのは、安倍政権を倒せれば民間に対してデマを流して名誉を毀損しても良いのだ、という考えです。

こんな連中が3分の1近くも議席を取っているのって怖くないですか?

以上

日本維新の会が参議院に森ゆうこ議員の懲罰を求める申し入れ

日本維新の会が森ゆうこ議員に懲罰を求める申し入れ

日本維新の会が参議院に森ゆうこ議員の懲罰を求める申し入れをしました。

その理由とこれまでの経緯を振り返ってみました。

日本維新の会が参議院に森ゆうこ議員の懲罰を求める申し入れ

山東昭子参議院議長へ「森ゆうこ議員の懲罰検討について」の申し入れを行いました。|ニュース|活動情報|日本維新の会

日本維新の会が参議院に森ゆうこ議員の懲罰を求める申し入れをしました。

申し入れ書はこちら

懲罰事由「国家公務員ならあっせん利得、 収賄」と「個人住所晒し」が原因

日本維新の会が申し入れ書に記載した森ゆうこ議員の懲罰事由は2点です。

  1. 参議院予算委員会で、原英史 氏が不正行為を行ったかのような発言を繰り返したうえ、「国家公務員だったら、あっせん利得、 収賄で刑罰を受ける(行為をした)」との事実無根の誹謗中傷を行ったこと
  2. 参議院農林水産委員会で原氏の自宅住所を記載した資料を配布し、HP・SNSで拡散したこと

関連:森ゆうこ議員「原英史は公務員だったらあっせん利得収賄罪相当」⇒免責特権の対象外か

関連:森ゆうこ議員が原英史氏の住所をネットに漏洩:なぜダメなのか

原英史氏は他にも森裕子議員の懲罰事由を指摘

森ゆうこ議員の懲罰を検討いただきたい理由 – アゴラ

理由3:【国会運営への影響
10月11日、台風が接近する中で質問通告が遅れ、行政職員を危険に晒した可能性が指摘された。事実関係の正否に争いがあるが、少なくとも、いまだ十分に説明責任を果たしていると考えられない。

その後、10月16日以降、質問の事前漏洩を指摘し、野党「質問通告漏洩問題調査チーム」を設けるなどし、政府や関係者を追及した。その後、前提となった資料の間違い(ツイート時刻変造)が指摘されたが、これに対して説明責任を果たしていない。

理由4:【根拠不明の資料配布
10月15日参議院予算委員会で、民間人の氏名や顔写真などが掲載された根拠の確認できない資料を配布し、事実の根拠なく、不正行為に関与したかのような印象を形成した。

質問通告遅延問題は足立議員が答弁を引き出すも自民党によって有耶無耶に

台風19号が接近しており早めの帰宅ができるよう各所が配慮している中、質問通告が遅れて官僚の仕事が滞るだけでなく職員の生命身体を危険に晒したことが指摘されています。

これについては森ゆうこ議員が通告時間が分かるものを示せば足りるのにまったく行わない中、足立康史議員が衆議院の質疑で、17時前に来た文書は質問通告ではなく「質疑通告」であったことが判明しました。

関連:森ゆうこ議員、質問通告時間も捏造していた:足立議員の質疑で発覚 

しかし、その後、森ゆうこ議員が以下のツイートをしました。

【根拠不明の資料配布】とツイート時刻捏造事件 

 

これは2段階あります。

1つは原氏も指摘するように、民間人の氏名や顔写真などが掲載された根拠の確認できない資料を配布し、事実の根拠なく、不正行為に関与したかのような印象を形成したことが問題です。

2つ目は、この行為の被害者である高橋洋一氏が国会中継の様子をツイートしたことについて、なぜか森ゆうこ議員が「質疑前に質問内容が漏洩していた!」と騒ぎだしました。

そして、森ゆうこ・柚木みちよし・原口一博・今井雅人議員らが「質問通告事前漏洩問題調査チーム」を発足して官僚に詰め寄っている中、その根拠として示した高橋洋一氏のツイート時刻が書いてある資料が、アメリカ西海岸の時刻表記であったことが発覚しました。

要するに、ツイート時刻を捏造したのです。

それ以来この話題については森ゆうこ議員らは逃げ続け、民間人側がヒアリングを求めても参加しないという不誠実な対応が続いています。

関連:森ゆうこの質問通告問題の野党合同ヒアリングで捏造が発覚!!

関連:ツイート時刻変造問題調査ヒアリング、森ゆうこら逃亡

まとめ

ざっと振り返っただけでもこれだけの人権侵害・立法府の権威を貶める行為をしている森ゆうこ議員ですが、未だに懲罰動議が出されていないことは異常だと思います。

自民党が乗り気ではないせいなのですが、本当におかしいと思います。

以上 

モンスターマップ(偽装破産者マップ)はプライバシー侵害の不法行為

モンスターマップ・破産者マップ

Monster Map(モンスターマップ)というサイトがあります。

これはあの破産者マップを巧妙化したものでありますが、プライバシー侵害の不法行為を免れません。

その根拠を整理します。

「破産者マップ2」Monster MAP(モンスターマップ)の掲載内容

Monster MAP(モンスターマップ)は「破産者マップ2」とでもいう内容です。

掲載内容は会社名・氏名・住所のみですが、丁寧にもGoogle Mapの位置情報とリンクされています。掲載されている情報の日時も2009年7月までのものです。

ただ、「破産者である」ということが書いてあるわけではありません

しかし、インターネット官報の情報と照らし合わせてみれば、明らかに破産手続開始の者の氏名住所等を掲載しているということが分かります。

モンスターマップのデタラメな法的告知

モンスターマップの「法的告知」とある画面では以下のような文言があります。

閲覧者は、このWEBサイトを閲覧した時点で、このWEBサイトの存在やこのWEBサイトの情報を他社や第三者に知らせる、掲示板や不特定多数が閲覧するインターネットサービスに投稿、転載、引用しないことに同意するものとします。

このWEBサイトはフィクションです。

しかし、このような文言があるからといって著作権法上の引用が不可になるということはありませんし、フィクションであるという断りがあるからといって個人情報を載せている事実は変わりません。

偽装破産者マップはプライバシー侵害の不法行為

偽装破産者マップであるモンスターマップは、個人情報保護法違反などの批判を逃れるために巧妙なつくりに変えたようですが、少なくとも住所を公開したことがプライバシー侵害によって民法上の不法行為を構成すると考えられます。

判決文記載の登記簿上の住所のブログ公開が不法行為になった裁判例

【東京地裁 平成22(ワ)47931号 平成23年8月29日判決】

事案の概要 原告X1は全日本海員組合の組合長であり、被告が原告と被告との訴訟の判決文をインターネット上のブログに掲載した際に原告の住所が公開された(3ヶ月後に削除)。原告はこのことをプライバシー侵害として訴えた。被告は、原告の住所は登記簿や電話帳にも記載されていることからプライバシーの利益として保護されないと主張した。しかし、裁判所は以下判断してプライバシー侵害の不法行為を認め被告に6万円余の支払いを命じた。

登記簿や電話帳への自宅住所の記載は、いずれも一定の目的の下に限定された媒体ないし方法で公開されるもので、同目的に照らし限定的に利用され、同目的と関係ない目的のために利用される危険は少ないものと考えられ、公開する者もそのように期待して公開に係る自宅住所情報の伝搬を上記範囲に制限しているというべきであるから、原告X1が自宅住所情報につきプライバシーの利益として保護されることまで放棄していると評価することはできない

インターネット上でも閲覧できる登記簿に掲載されている代表者の住所であり、判決文に記載されているものであったとしても、この事案では公開する利益が公開されない利益を上回ることはないとして、プライバシー侵害として不法行為となったということです。

そして、登記簿上の代表者住所についてもネット閲覧が禁止されました。

インターネットでの登記簿上の住所閲覧が禁止になることが決定

法務省:法制審議会会社法制(企業統治等関係)部会第19回会議(平成31年1月16日)開催

また、以下の内容の附帯決議がされた。

省略

2 省略

 (2) 電気通信回線による登記情報の提供に関する法律に基づく登記情報の提供においては,株式会社の代表者の住所に関する情報を提供しないものとする。

 

インターネット上で登記情報を見ることができるサービスがあります。

しかし、過去に法人の代表者の個人住所がみだりに利用される事案が発生しました。

そのため、ネット上での閲覧を制限する必要性があるのではないか、実際上も法人の住所だけがあれば良い場合がほとんどではないか、という意見が出たため、ネット上での閲覧のみ規制をかけることが決定されました。

参議院議員森ゆうこが法人の代表者の個人住所を晒して国民民主党が謝罪

関連する事件。

参議院議員の森ゆうこ議員が国会質疑の場で使用する資料の中に登記簿の写しがあり、法人の代表者の個人住所がマスキングされずにオープンになっていた問題がありました(質疑後にネット上で公開もしていた)。

その際も本人からの抗議や日本維新の会による働きかけによって黒塗り対応がなされ、さらには森ゆうこ議員が所属する国民民主党が謝罪しました(森ゆうこ議員の謝罪はない)。

個人の名前と住所がネット上で公開されてしまったことに対して、このように対応するのが社会的な常識となっているということが分かります。

たとえ住所が「公開情報」であったとしても、それを本来の用途以外で拡散する行為≒ネット上で閲覧可能な状態に置き換えることは慎むべきものと考えられており、不法行為となった裁判例もあるということです。

破産法の趣旨に反して再拡散するモンスターマップ

そもそも、破産法の官報公告の趣旨*1破産手続の関係者に対する裁判の告知や書面の送付を速やかにかつ経済的に実施するためのものであるとされています。

そのため、そのようないわば「正当化」するための実態と形式を備えていない再拡散行為は、官報公告と同じように考えることはできず、公開する利益が公開されない利益を上回ることは無いと言えます。

しかもモンスターマップはGoogle Mapの位置情報とリンクさせているところ、Google Mapはアップデートされた地図を用いていますから、「現在の情報」として閲覧者が認識するようになっています。

すると、既に引っ越しで住居人が変わった場合や破産手続が終了した者であっても、今現在も破産者であると誤解させるつくりになっており、そのような方々に対する名誉毀損にもなりうるものです。

これは閉鎖した破産者マップについても当てはまります。

関連:破産者マップが閉鎖:なぜ官報情報を地図化するのはダメなのか

個人情報保護法違反や名誉毀損がなくともプライバシー侵害による不法行為か

モンスターマップは個人情報保護法違反や名誉毀損かは不明です。

しかし、少なくとも個人名と住所という情報はプライバシーとして保護されるものであり、官報記載の破産者情報はその趣旨の限りでの用途で利用されると本人らも期待しているために掲載が許されているものです。

よって、少なくともプライバシー侵害の不法行為にあたるのではないでしょうか。

ただし、被害者の多くは破産者であることで動くための金銭が無く、心理的なハードルもあると考えられますから、今後は【破産者マップ被害対策弁護団】が再度対応していくことになると思われます。

以上

*1:条解破産法・弘文堂2010年

竹田恒泰氏 山崎雅弘氏を名誉毀損で提訴 リツイートした人も検討

竹田恒泰氏が山崎雅弘氏に訴訟提起

竹田恒泰氏が山崎雅弘氏を名誉毀損で提訴する準備に入りました。

山崎氏のツイートをリツイートした人に対しても訴訟提起を検討中とのことです。

何が原因でしょうか?

山崎雅弘氏の竹田恒泰氏に対する名誉毀損ツイート

魚拓

魚拓

竹田恒泰氏は最初に、これらのツイートを名誉毀損として山崎氏に警告しています。 

根拠はBuzzapが取り上げたYouTubeアカウントBAN事件

根拠はBuzzapが取り上げた、YouTube竹田恒泰チャンネルのアカウントBAN事件

現在は竹田恒泰チャンネル2として活動していますが、その前のアカウントはBANされたままです。

Buzzapの記事では「差別的な言動」としていますが、そのような事実となる発言をまったく示しておらず、唯一以下の指摘があるのみです。

引用している記事の魚拓

アイドル刺傷事件の犯人について何の根拠もなく「日本国籍ではないと思われる」と言い放つなど、もともと差別的な言動が多かった竹田氏。

これが法的な意味でも国語的な意味においても差別ではないことは明らかです。

「YouTubeが差別的言動だとしてBANしたから」

要するに「YouTubeが差別的言動だとしてBANしたから」というのが山崎雅弘氏が竹田恒泰氏が差別的発言をしたと考える根拠のようです。

しかし、竹田恒泰チャンネルがBANされた経緯からすると、言動が原因というよりは通報が一時期に集中したことによる機械的な対応だった可能性が高く、竹田恒泰氏も以下でまとめています。

 「韓国人への差別的言動」とも言い始める山崎雅弘氏

魚拓 

魚拓

 

魚拓

「ビール販売数激減に繋がり」って…

まともな因果関係判断ができる人は決して言わないですね。

山崎雅弘氏は「韓国人への差別的言動」とも言い始めたわけですが、どこかで聞いたことがあるような展開ですね。

山崎雅弘とchocolat

https://web.archive.org/save/https://twilog.org/mas__yamazaki/date-191116

おやっ?どこかで見たことがあるアカウントが…

竹田恒泰氏が講演会妨害を煽ったユーザーに対し訴訟、通報

差別主義者・人権侵害常習犯とされた竹田恒泰チャンネルの動画 

警告、訴訟予告

 いきなり訴訟提起したのではなく、警告、訴訟予告と段階を踏んでるのが分かります。

リツイートも訴訟提起の準備、一般人は発信者情報開示請求から

竹田恒泰氏は、山崎雅弘氏のツイートをリツイートした人に対しても訴訟提起の準備も検討していることを明言しています。

これは、橋下徹氏の岩上安身氏に対する訴訟において、リツイートが賛同の意であるとされて名誉毀損が認められた裁判例があるためです(大阪地裁令和元年9月12日)。

この判決は事例判断だろうと言われていますが、リツイートが賛同の意であると認定されるような発信をしていたならば、別の事案でも名誉毀損と認定される可能性はあると思います。

また、一般人についても発信者情報開示請求で住所を特定してから訴訟提起する予定とのことです。

争点はYouTubeのアカウントBANの信頼性か

竹田恒泰氏と山崎雅弘氏の訴訟の争点は「YouTubeによって差別的であることを原因とするアカウントBANがあったという事実の存在が、差別的な発言があったと誤信する程度の真実性を担保するか否か」だと思います。

参考:夕刊和歌山時事事件最高裁 昭和44年6月25日大法廷判決

私の予想としては、おそらくYouTubeの判断はYouTube内部の判断として、世の中一般に言う「差別」判断とは一致しないと考えられるから、「YouTubeが差別的だとしてBANした」ことをもって差別発言があったと認定することはできず、別の具体的な言動を指摘しなければならないという判断になるのではないかと思います。

以上